私はウメハラの強さがどういうものか訊かれたらこう答えるようにしている。
勿論、並のプレイヤーでは歯が立たない、
しかし、ある程度実力のあるプレイヤーが初見でウメハラと試合をしたとする。
「伝説的なプレイヤーだから全部読まれて、一発も攻撃が当たらないかと思ったら、
意外と攻撃が当たるもんだ、おや、大昇竜拳を豪快に外したぞ、
こっちのバクチが通用した、勝てたぞ!」
相性やリズムの関係もあり、あれよあれよで勝てることもある。
ところが一本目より二本目がなぜか強く感じる、
それでもなんとか残り0ドットまで追い詰めた、あと必殺技をガードさせるだけでも勝ちだ。
ところがそこから全く攻撃が当たらなくなる、牽制技をチクッと当てて勝とうとしても、
タイミングを知っていたかのようにキッチリとガードされてしまう。
埒が開かない、この至近距離なら見てから波動拳をジャンプ出来ないはず、
と波動拳を出したら、完璧なタイミングで先読みして飛び込んで来ている。
この数十秒間、私は一度も波動拳を撃たず、ウメハラは一度も飛び込んで来ていなかったにも関らずだ!
こうして何かに魅入られたかのように、私の攻撃は外され続け、彼の攻撃は当たり続け、
私は大逆転負けをしてしまったのだ。
彼は手を抜いていたのか?
それは違う。そこまで蓄積した相手の情報を、
残り0ドットから異常な集中で解析し、相手の行動パターンを読み出したのだ。
残り一撃となって勝利に逸る私とは対照的に、残り0ドットから試合開始直後のような冷静さでね。
時には2本目も取ってアッサリと勝てる事もある。
ところが、5試合すると互角になる。
10試合すると負け越すようになる。
100試合する頃には全く勝てなくなってしまう。
それで兜を脱いで彼に訊いてみたんだ。
どうして君は僕の行動が読めるんだい? とね。
彼は言った。
「想定外の攻撃を受けパニック状態になった人のパターンは2つしかない、
手を出せずに固まってしまうか、闇雲に手足を出すか、
そのどちらのタイプか見極めただけのこと」
ウメハラとはそういうプレイヤーだ。
~ジャスティン・ウォン